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今回の調査では、5つの路線のうち2つが発着するホーンスローターミナルにおいて、運行状況を見てきた。この2つの路線は、CenterWest社が運行する222路線とLondonUnited社が運行する120路線で、車両は同一仕様のデニス・ランスSLFである。他の英国の標準的なバス(前扉のみ)と異なり、前乗り中降りの2扉仕様である。
訪問したのは土曜日の午前中で、ホーンスローのシティセンターはたくさんの人でにぎわっており、発着するバスの乗降も多い。低床バスは停留所においてニーリングを作動するため、歩道との段差はわずかであり、子供やベビーカー使用の人の乗降性向上にかなり有効であることが顕著に見られた。222路線は乗客増により、最近運行回数の増加を行っており、低床バスが需要を掘り起こしたともいえる。(ただし、新車の投入が間に合わず、一部在来車で急場をしのいでいる。)
低床バスの導入の唯一のネックは価格上昇であるといわれ、ロンドンではプロジェクトの68台に続く投入はわずかで数年推移しているが、今年より中型べースの低床バスの登場で、各地で採用が増加しており、今後の増備が期待される。

 

(3)ミットカー・パリ
パリの国際展示場で開かれるミットカー・パリは今回で3回目を迎える国際トレートショウである。内容の中心は観光であり、様々な観光業者、国と地域、バスメーカなどが300にも及ぶブースを並べる。そんな中で、バスの実車の展示も多く、50台を超える。ショウの主役はカラフルなデザインを施された観光バスであるが、主要メーカからは路線バスの展示も多く、その時の技術の状況を伺うことができる。
ここでは、調査の主題の低床バスを中心に、会場に展示されたバスとその技術についてまとめることにする。
スウェーデンのスカニアは2台のハイデッカー・コーチ、1台の中長距離用バス、そして新型低床バス・オムニシティを出品した。コーチ2台はいずれもイリザール製車体。オムニシティは、今年新登場した同社の意欲作。今まで同社の低床バスはいずれも従来型の駆動部を有し、後車軸より前部を低床としたものであったが、オムニシティは後扉までノンステップのフラットフロアを有する。エンジン(9L)は後部横置きで、約60度傾けて搭載し、アングルドライブにより後車軸を駆動する。このエンジンの傾け具合が絶妙で、直立横置きのルノーのような車室のデッドスペースは少なく、座席は最後部まで設置可能で、水平エンジンの縦置きオフセット配置に比べると、低い床を広くとれるメリットがある。エンジン点検蓋は大きく開き、整備性も良さそうである。車体は、傘下に入れたDABのアルスイスの技術を用いたアルミ製で、12mフルサイズの大きさにもかかわらず比較的軽量にまとめられている。来年初めより生産が開始される予定。
オランダのボーバ、ベルギーのバンホールは、観光車のみの展示で、今年のニューモデルはなく、特記すべきことはない。
ベンツは観光バスシリーズ0404,350、新型の汎用車0550、路線バス0405NG、マイクロ・ミニバスシリーズ、モータ入りアクスル部品などを展示した。0405NGは、CNG仕様で、低床バスの車体そのままにCNGエンジン搭載、屋根上にボンベを有する。特に目新しいものはないが、3扉仕様で、後扉は2ステップ、また車内握り棒のデザインが変わっている。モータ組み込みのアクスルはZFとの共同開発であり、Z

 

 

 

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